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映画「海洋天堂」の感想
2011.07.24



 この予告編にも出てきますが、21歳の自閉症の青年(王大福)の父親が肝臓がんになり余命3か月と言われ、自分が死んだ後も彼が暮らせるように愛情こめて、時には苛立ちながらも頑張るという話でしょうか。

 知らなかったのですが、ジェット・リーさんって元々武術のエリートで、その後映画界に進出したという方。めっちゃカッコいい方でかつええ味だしてはりました。で、大俳優なのにこの作品の脚本を読んで「ノーギャラでもやらせて欲しい」と申し出はったとか。

 また脚本・監督のシュエ・シャオルーさんは女性。1994年に自閉症に関するインタビュー記事を書いたことがきっかけで、1993年に中国国内で初めて 自閉症児童を支援する民間施設「北京星星雨教育研究所」を設立したティエン・フィピンと出会い、またボランティア活動を始める。

 もうここらへん、パンフレットを読んだだけでウルウルしてしまいます。

 お客さんは5分の入りくらい。結構多かったなという印象でした。

 以下、オタク話を書きますが、ネタバレも含むし、感動した、とか感動したい、という方は読まないほうがいいと思います。すっげえ「上から目線」に見えるところもあると思いますし、気分を害される危険もありますので。


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 まず、今日は家を出るのが遅れて開始ギリギリになったのですが、予告編の上映があるから大丈夫だろうと思っていたら会場に入ったら既に始まっていました。でいくらなんでも書けないですが、オープニングシーンを見逃したらダメです。5分遅れだったらまずかった。

 で主人公の自閉症の大福は、私のつきあった中で「あの人とこの人を足して2で割ったくらいかなあ」という感じ。

 卒業後の進む成人施設や親なき後の問題、確か。日本でも大きな問題です。それについては私は口はばったいことは言えません。

 ただ、この映画「主人公の自閉症の青年との間にいろいろ困ったことが起きるけれど、父親が愛情深く、やさしく、時には苛つきながらも、周囲の人の助けも 借りて解決する」という話だと思うのですが、その途中の「困ったこと」ってのが、あれまあ「こうやれば解決するじゃん」みたいなところが多くて、それが気 になって映画の流れにのれない部分がありました。まあ、そうやって解決すればまた違う問題は出てくるもんだと思うし、それが人生だとは思うけれど。

 たとえば何が「いやだったのか」は書けないけれど、こんなシーンがありました。

父「いやだったのか?」
大福「いやだったのか」
父「いやだったのか?」
大「いやだったのか」
父「オウム返しはやめろ!」(とつかみかかる)

これは

どうだった?


と「えらぶメモ」で尋ねればあの大福なら一発で答えてくれるでしょう。(それまでにいろんなやりとりを続けていれば、ですけど。生まれて初めてこんなものを見せられたのなら「何のことやら?」になるでしょうが)

 大福は3歳の時に診断され、たぶん行くところが無い状態でやっと特別支援学校に8歳から行けたようです。その特別支援学校を訪れ「再入学させて下さい」と頼む場面があります。ここは身につまされるところではあります。そう考えておられる方が日本でも多いかなあ。で

父「この学校に入れてもらえなければ話もできないままでした」(つまり「おかげで音声言語の理解・表現ができるようになった」ということでしょう)

と言うシーンがありますが、ここは「だからまずいんだよなあ」というシーンかな。結局みんな「音声言語を出せるようになったらOK」「音声言語の指示がわかるようになったらOK」と考えてしまって「肝心なこと」が身につかないままになってしまってる。

 実際にこの映画の中で大福は「音声言語が理解できる」「機能的に音声言語が使える」とはほとんどの場面で描かれていません。でお父さんはほとんど全て音 声言語で理解させようとしてうまくいっていない。(最後の方で「わかったか?」「わかった」というやりとりで音声言語が理解できているような場面が1か所 出てきますが、それが本当だとすると他の場面の整合性が無くなるような気がします)

 大福にカギを置く場所を教える場面、これもその場所にカギの絵か写真と「帰って来たらここに掛ける」との文字があればいいんじゃないかな。

 店で黙って商品(アイス)を取って食べてしまう。で、それを何とかしようと、家でお金を各種用意し、それぞれ「◯◯を買う時はどれを出せばいい?」と音 声言語でやってまあうまくいかないシーン。これは日頃から自分でお金を出して好きな物を買う、という体験を積まないといくら「家の部屋の中」で教えようと しても無理でしょう。

 それから大道芸の人のボールを取ってしまい、返しなさいと言われどうしていいかわからず、お父さんが来てボールを取り上げ返したあと、混乱してお父さん の肩に噛み付くシーンが出てきます。私もまったく同じように噛まれたことがあります。やっぱりそれも「きちんと見てわかるもので伝えていない」「安心でき る環境を作っていない」せいでしたね。この場面もお互いに伝え合える手立てがあったら良かったのになあ、と思いました。

 特別支援学校時代の恩師が探してくれて民間の施設を見つけます。

 で、入った日の夜に大福はパニックを起こし急遽父が呼ばれます。

職員「私たちに手も触れさせてくれません」

 じゃあ職員が触らずに大福自身がやってくれるようにしておいたらいいだけで。ってか最初の方の着替えシーンでも、これは本人自身でできるやろう、と思う ようなことを介助してやらせています。着替えとか。まあこのへんは後半、自分でできるように教えるシーンは出てきます。しかし、それも「見てわかる手順」 とかあったほうがわかりやすいだろうな。

 でまた施設に入る予定についても「カレンダー」や「当日のスケジュール」 で伝えてはいませんし。本人にしたらわけのわからないまま物事がどんどん起こっていくので、そらパニックにもなるわなあ。もちろん「本人に尋ねる」はして はらへんし。まあ、ここらへんは「この施設に入らざるを得ない」というところがあるけれど、だったら最低限何がこれから起きるのか予定は伝えないといけな いですわね。

 この後、お父さんが工夫してタンスのひきだしに「長衣」とか絵と字で書いた紙を貼ったのでほっとしました。つまり「自分で見てわかり、自分で取り出したり片付けたりできる」ような工夫をしたわけですね。

 バス練習も基本「とりあえず体験」させ「その場の音声のやりとり」を反復練習してできるようにしてました。これはまあこんなところかもしれないけど「見てわかる」手がかりをいろいろ工夫はできそうです。

 まあなあ。中国も全体のGNPは日本を追い越していますが、「書いて伝える」「書いて伝えてもらう」ための紙が個人のおたくでふんだんにあるかどうかは 問題になるかな。電化製品や携帯電話が当たり前になっても、意外とそこらへんはふんだんには無いかもしれないなあ、とは思いました。私も1990年前半 だったら例えば「毎日A4の紙を縦半分に切った個人スケジュールを使い捨てで渡す」ということには躊躇しただろうとは思います。やっぱりその頃だと「もっ たいない」感じはしましたから。


 とケチをつけてるように思われるかもしれませんが、いい映画だとは思います。






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